RESEARCH

AIを週5日使えば、仕事は5割増えた。2万5,000人の給料は動いていなかった

2026 / 09 / 22AIdollargame 編集部読了 約7分
モニターいっぱいに色つきのプログラムコードが並んでいる写真

社員にAIを配ったあと、「使っている人ほど成果が出ているのか」を確かめたい経営者の方に向けた記事です。

AIは使えば使うほど効くのか。それとも、どこかで効きが鈍るのか。経済の言葉でいえば、収穫逓減が起きるのかどうかです。

この問いに、数万人規模のデータが続けて出ています。並べてみると、答えは「どこで測るか」で逆になっていました。

使う日数が多い週ほど、伸び方は大きくなっていた

1本目は、Microsoftが社内の数万人のエンジニアを調べたものです(arXiv、2026年7月/査読前のプレプリント。書いたのはMicrosoftの研究者)。

2026年1月から4月に、Claude CodeとCopilot CLIという、指示するとAIが自分でコードを書き進める道具を社内に配りました。使い始めた人は、使っていなかった場合の推計と比べて、仕上げて取り込まれたコードの変更(プルリクエスト)が24%多くなっていました。

面白いのはここからです。同じ人の「使った週」と「使わなかった週」を比べると、増え方はこうでした。

効きは鈍るどころか、使うほど大きくなっていました。4か月の間に効果が消える様子もありませんでした。

ただし、著者自身が注意を書いています。たくさん使った週は、たまたま軽い仕事が多かった週かもしれません。数えているのは変更の件数で、その価値ではありません。

2万5,000人の給与記録では、毎日使う人も給料が変わらなかった

2本目は、シカゴ大学のAnders Humlumとコペンハーゲン大学のEmilie Vestergaardによる研究です(2026年3月/査読前)。

デンマークの11職種(会計、顧客対応、記者、マーケティング、事務、プログラマー、教員など)で、7,000の職場の2万5,000人に調査をかけ、国の給与記録と1人ずつつなぎました。

結果は静かでした。

こちらはチャット型のAIが中心で、データも2024年までです。1本目の、自分で作業を進めるAIとは道具の世代が違います。

伸びた分はどこへ消えたのか

作業量は伸びているのに、給料には届いていない。その間で起きていることを、2本目の研究が拾っています。

AIを使う人の85%が、浮いた時間をほかの仕事に回していました。約30%は、浮いたはずの同じ作業に、かえって時間をかけていました。休憩や早帰りに回した人は1割未満です。

つまり浮いた時間は、仕事の量に吸い込まれていました。会社が「その増えた量」に値段をつける仕組みを持っていなければ、給料にも利益にも出てきません。

もう1つ、時間とともに効きが消えた例もあります。カーネギーメロン大学の研究チームが、Cursorという道具を入れたGitHub上の806のプロジェクトを、似た条件の入れていないプロジェクトと比べました(MSR 2026、2026年4月/査読済みの国際会議論文。対象は806件と小さめ)。

最初の2か月の伸びが、あとから点検と手直しの重さになって返ってきた形です。Microsoftの4か月では効果は消えていなかったので、ここは結果が割れています。

収穫逓減がはっきり出たのは、やり直しの回数だった

逓減がきれいに出たのは、別の場所でした。

AIにコードを書かせ、エラーを返して直させる往復を、何回まで続けると得かを調べた研究があります(arXiv、2026年7月/査読前。安価なモデル3種で検証した短い論文)。

改善のほとんどは最初の3〜4回で出ていました。5〜7回目のあたりからは、ほぼ何も増えません。そして結果を左右したのは、モデルの違いよりも、エラーをどう返すかという手順の組み方でした。

明日からやれること3つ

  1. 使った日数ではなく、浮いた時間の行き先を先に決める
    2.5万人の研究では、浮いた時間は黙っていると仕事の量に吸い込まれていました。「浮いた分で何をやめるか、何を始めるか」を、配る前に1つ決めておくことです。
  1. 量が増えたら、点検の時間も増やす
    Cursorの研究では、増えた量がそのまま後の手直しになりました。AIで作る量が増えた月は、見直しの時間を先に予定に入れてください。
  1. AIへの「直して」は3回までにする
    3回で直らなければ、4回目を頼むより、人が指示の書き方を変えたほうが早い。研究でも、効いたのはモデルより手順でした。

まとめ

AIの効果を「使っているかどうか」で測ると、たぶん良い数字が出ます。確かめるべきなのは、浮いた時間が最後に何に変わったかです。社内のどこでそれを測ればいいか、一緒に考えたい方はご相談ください。

出典

https://arxiv.org/abs/2607.01418

https://www.rfberlin.com/wp-content/uploads/2026/03/26078.pdf

https://arxiv.org/abs/2511.04427

https://arxiv.org/abs/2607.05197

浮いた時間の行き先を、一緒に決めます

AIを配る前に、浮いた時間で何をやめるか、何を始めるかを決める。社内のどこで測ればいいかまで整理します。初回のご相談は無料です。

無料相談を予約する →