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中古トラック15,145台を集めたら、半分に値段が書いていなかった

2026 / 08 / 06AIdollargame 編集部読了 約5分
幹線道路を走る大型トラック

昨日の夜、中古トラックの在庫情報を扱う3つのサイトから、公開されている在庫15,145台分のデータを集めました。自社ツールを作るための下ごしらえだったのですが、集め終わってから中身を数えてみたら、想像していたより面白い数字が出てきました。

この記事は、その実測の記録です。他社の研究の紹介ではなく、自分たちで取ったデータの話なので、限界も含めて全部書きます。

読み終わると、「自分の業界の相場も、たぶん誰も測っていない」ということと、それを測るのに何が必要かが分かります。

集めたもの

2026年8月5日の夜、中古トラックの在庫を掲載している3つのサイトから、公開されている在庫情報を取得しました。合計15,145台です。

各サイトの利用規約とrobots.txtを事前に確認し、クロールを禁じているサイトは対象から外しています。取得したのはメーカー、車種、ボディの形、年式、走行距離、積載量、所在都道府県、価格。個別の車両を晒す意図はないので、以下はすべて集計した数字だけを出します。

正規化には少し手間がかかりました。和暦と西暦、「千km」と「km」、キログラムとトン、同じボディなのに呼び方が違うもの。これを1つの形にそろえるまでが仕事の8割です。

分かったこと1:値段が書いてあるのは、48.6%だけ

まず、これが一番効きました。

15,145台のうち、価格が表示されていたのは7,368台。48.6%です。残りの過半数は「応談」「要問い合わせ」で、値段が書かれていません。1つのサイトは、そもそも全車両が問い合わせ制でした。

つまり中古トラックの市場は、半分以上の商品に値札がついていない状態で回っています。

買う側から見ると、電話をかけるまで予算に合うかどうか分かりません。売る側から見ると、自分のトラックが今いくらなのか、比べる相手がそもそも見えません。

分かったこと2:条件をそろえても、2割は2倍以上ひらく

次に、値段が書いてある車だけで、同じ条件の車がいくらで並んでいるかを調べました。

対象は、価格と走行距離と年式がそろっている7,194台(明らかな入力ミスと思われる高額データ29台は除外しています。1台1億円ちょうどが3台ありました)。

メーカー、車種、ボディの形、年式が同じ車が5台以上あるグループを394組つくって、その中の最高値と最安値の比を出しました。

ただし、これは走行距離を無視した比較です。走っている車が安いのは当たり前なので、走行距離を5万km幅までそろえて、もう一度同じ計算をしました。

走行距離の効き方も出ました。同じ車種・同じ年式のグループ183組で見ると、走行1万kmあたりの価格差は中央値でマイナス4.8万円。89.1%のグループで、走るほど安いという当たり前の関係が確認できました。

まとめると、値段のばらつきの多くは走行距離で説明できる。それでも、年式も走行距離もほぼ同じ車が、2倍の値段で並んでいる場面が2割ある、ということです。

ここは正直に書いておきます。今回そろえられなかった条件がまだあります。装備の違い、修復歴、車検の残り、整備の状態。これらは価格を大きく動かします。だから2倍の差がそのまま「高すぎる」を意味するわけではありません。

言えるのは、公開されている情報だけでは、その2倍の理由が買う側に見えないということです。

分かったこと3:値札の3割は「キリのいい数字+税」だった

これは数えていて思わず声が出ました。

価格の頻出値を並べると、上位が198万円、495万円、220万円、330万円、297万円と続きます。全部、税抜きのキリのいい数字を1.1倍した数字です。198万円は180万円+税、495万円は450万円+税。

数えたところ、価格表示のある7,368台のうち30.5%が、10万円単位の税抜き価格をそのまま税込み表示した数字でした。税込みで10万円単位のキリ番になっているものを足すと38.5%。

4台に1台以上が、キリのいい数字で値付けされているわけです。

相場を精密に計算して端数まで出している、という値付けではありません。感覚と経験で「180万かな」と決めた数字が、そのまま並んでいる。値札が半分しかない市場で、残り半分も感覚で決まっている、ということになります。

これは中古トラックの話ではない

ここまで読んで「トラック業界は遅れているな」と思った方がいたら、たぶん逆です。

値段が公開されていない、条件をそろえた比較ができない、値付けが経験と勘で決まっている。この3つがそろっている業界のほうが、世の中には多いはずです。産業機械、工具、飲食店の居抜き物件、地方の不動産、業務用の中古設備。心当たりがある方は多いと思います。

そして重要なのは、今回私たちがやったのは推論でも予測でもないということです。公開されている情報を集めて、単位をそろえて、同じ条件の車を並べただけ。AIがやったのは頭のいいことではなく、人間がやると数か月かかる単純作業です。

自分の業界で試すなら、順番はこうなります。

  1. 公開情報がどこにあるかを数える。同業のサイト、業界団体の公表資料、官公庁のオープンデータ。まず「そもそも公開されているか」を確認します。
  2. 集める前に、利用規約とrobots.txtを読む。禁じているサイトは外す。ここを飛ばすと、後で全部無駄になります。
  3. 100件でいいので手で集めて、そろえてみる。ばらつきが見えたら、その先は自動化する価値があります。見えなければ、そこで止めればいい。

ちなみに今回、実際にかかった時間は一晩です。19時に取り始めて、23時過ぎに15,145台を取り終わりました。途中で1回詰まりましたが、原因はAIの賢さとは何の関係もない通信待ちの設定で、最初の実装では1台あたり十数秒かかっていました。並列で取りに行く形に書き直したら一気に終わりました。この手の作業でつまずくのは、たいていそういうところです。

まとめ

値段が見えない市場では、売る側も買う側も、自分の判断が正しいのか確かめようがありません。その状態を変えるのに必要なのは、賢いAIではなく、そろえて並べる手間でした。

私たちは「楽(らく)になる」ことをゴールにしていません。数か月かかる単純作業を一晩に変えたぶん、その先の「で、この差は何なのか」を考える時間に使う。そこまで含めて一緒に考えるのが、私たちの仕事だと思っています。

データについて

写真: Openverse(パブリックドメイン)

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