AI研修に使える助成金は、
今年度で終わります

2026 / 07 / 30AIdollargame 編集部読了 約5分

社員のAI研修には、国の助成金が使えます。ただしその制度には、期限があります。この記事では、AI研修の費用を軽くできる「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」について、厚生労働省の一次資料をもとに、事実だけを整理します。数字は盛りません。書いてあるのは、公表資料に載っている値だけです。

まず、消える期限からお伝えします

この助成コースは、令和4年度から令和8年度までの期間限定で設けられた制度です。厚生労働省の最新パンフレット(令和8年5月14日版)にも「令和4〜8年度の期間限定の助成金として創設」と明記されています。つまり令和8年度(2027年3月末)が最終年度の予定です。

「まだ先の話」と感じるかもしれません。ですが後述するとおり、助成金は訓練を始める前の手続きが要になります。逆算すると、動き出せる時期はもう限られています。

助成の中身は「経費」と「賃金」の2本立て

この制度は、新たな分野で必要になる知識・技能を社員に習得させる訓練を対象に、その費用の一部を助成します。中小企業の場合、主な内容は次のとおりです。

対象になるのは雇用保険被保険者の従業員の方です。役員・経営者ご本人は対象外です。また対象となる訓練はOFF-JTで、実訓練10時間以上が必要です(eラーニング・通信制は標準学習時間10時間以上または標準学習期間1か月以上)。経費助成には1人1訓練あたりの上限もあり、中小企業の場合、実訓練10〜100時間未満は30万円、100〜200時間未満は40万円、200時間以上は50万円(eラーニング・通信制は15万円)です。

助成率も単価も、これは上限です。実際に支給されるかは要件審査を経て労働局が判断します。「必ず戻る」「実質無料」という話ではない、という点だけは、はじめに正直にお伝えしておきます。

「新規事業がないと使えない」は、令和8年度から変わった

この助成金でいちばん多い誤解が、「新規事業を立ち上げる予定がないと使えないのでは」というものです。これは令和8年度から状況が変わりました

厚生労働省の同パンフレットによると、対象となる訓練は次の3つのいずれかです。①事業展開(新規事業など)に伴う訓練、②DX・GX化に関連する訓練、そして③「企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づき、今後3年以内に従事することが予定される職務」のための訓練です。この③があるため、新しい事業の予定がなくても、社内の配置転換や職務の変更にあわせた研修であれば対象になり得ます。生成AIの活用は、多くの職務で「これから必要になる技能」に当たります。

締切は「2027年3月」ではなく、「計画届の期限」から逆算する

助成金でいちばん大事なのは、訓練を始める前に手続きを済ませることです。具体的には、職業訓練実施計画届を、訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に労働局へ提出する必要があります。提出前に始めてしまった訓練は、助成の対象になりません。

流れはこうです。

この準備期間を逆算すると、令和8年度中に訓練を終える計画で進めるなら、年内に動き出すのが現実的な線です。あわてる必要はありませんが、「また来年」がそのまま使えるとは限らない制度です。

なぜ今かは、データが言っている

私たちが毎月、公的調査の一次データを読む連載「定点観測」の第1号でも、この文脈が見えています。中小企業基盤整備機構の調査では、中小企業のAI導入率は20.4%、検討中を含めると約4割が前向きでした。そして企業が必要としている公的支援の上位には、「導入費用などの助成」(77.9%)に続いて「従業員向けの教育・研修」(67.7%)が挙がっています(定点観測 第1号はこちら)。

お金の支援と、人の準備。企業が求めているこの2つに、まさに今回の助成金は当たります。道具はもう手の届くところにある。あとは「うちの社員がどう使うか」を、助成金が使えるうちに整えられるか、です。

「補助金や助成金は入口にすぎません。大事なのは、研修のあとに現場が本当に変わるかどうか。だから私たちは、翌日から使える研修にこだわっています。」(代表・佐藤徳之介)

出典

※本記事は2026年7月30日時点の制度内容にもとづきます。助成金の支給を保証するものではありません。要件・助成率・上限・期限は制度改正により変更される場合があります。最新の内容は厚生労働省の公表資料、または顧問社労士の先生にご確認ください。

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