「AIで電話対応を自動化」と聞くと、空想の話に聞こえるかもしれません。
でも今月(2026年7月)、その距離が一気に縮まる事例が出ました。 100円ショップ「Seria(セリア)」が、本社の代表電話の約75%をAIで自動化した、という話です。
この記事は、電話や問い合わせ対応に人手を取られている中小企業の経営者に向けたものです。 華やかな成功譚として消費するのではなく、「自社のどこなら真似できるのか」を、出典を確認しながら一緒に線引きします。
何が起きたのか?
セリアは、電話応対AI「アイブリー」を本社に導入しました。
導入前の2026年2月に行った実証(PoC)で、代表電話の自動化率は74.7%、お客様窓口は47.4%という結果が出ています。
背景にあった課題は、いかにも「あるある」でした。 本社には月に約4,500件の電話がかかってきていて、その応対負荷、カスタマーハラスメント、そして問い合わせ傾向がつかめないこと。
2026年4月からは本社4回線(代表・お客様窓口・業務部・人事部)で本格運用に入り、7月からは店舗5店でも実証を始めています。
(出典は記事末尾に置きました。数字はいずれも公開されているものです。)
なぜ「電話」だったのか
私がこの事例で一番うなずいたのは、最初にAIを当てた場所が電話だった点です。
電話は、多くの会社で「一番断りにくく、一番集中を奪う」業務です。
かかってくれば手が止まる。
内容の多くは「営業時間は?」「在庫は?」のような定型。 なのに、貴重な人が張り付いている。
つまり電話は、手間の割に判断がいらない部分の宝庫なんです。
ここをAIが一次受けするだけで、人はまとまった時間を取り戻せます。
74.7%という数字も、「電話の4分の3が不要」という意味ではありません。
4分の3は「定型で、人でなくてもいい」という切り分けができた、という話だと私は読んでいます。
真似していいところ、してはいけないところ
ここが本題です。事例は、鵜呑みにすると火傷します。
真似していいのは、定型の一次対応です。 ・営業時間、場所、在庫、予約の受け ・用件を聞いて、折り返しの約束を取る このあたりは、規模が小さい会社でも月1〜3万円程度のサービスから始められる領域になってきました。
一方で、そのままAIに渡してはいけないものもあります。
複雑な相談や、込み入ったクレーム ・感情的になっている相手
ここは必ず人へ繋ぐ設計にしないと、かえって信用を落とします。
セリアの事例でも、自動化と同時に「全通話の録音」で心理的安全性を確保したと報じられています。 任せる部分と、人が守る部分を先に分ける。そこが肝でした。
まとめ:数字の裏にある「切り分け」を持ち帰る
大きな会社の派手な事例からでも、中小企業が持ち帰れるものはあります。
・セリアは代表電話の74.7%を自動化。母数は月およそ4,500件の電話(公開情報)
・狙いどころは「手間はかかるが判断はいらない」定型の一次対応
・複雑、クレーム、感情的な相手は人へ。任せる線を先に引くのが成功条件
自社でまず一つやるなら。 「先月、電話で一番多かった質問トップ3」を書き出してみてください。 そのトップ3が定型なら、そこはもう、人が張り付かなくてもいい仕事かもしれません。
AIで「楽」になるのは、あくまで入口です。 電話番から解放された人が、目の前のお客さんや、やりたかった仕事に向かえる。 その「楽しい」まで行けて、はじめて導入は成功だと思っています。
参考(数字の出典): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000275.000056805.html https://markezine.jp/news/detail/77241
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